e−フォラム・ストック(e-Foram Stock)は浮遊性有孔虫電子標本のコンピュータネットワーク配信実験のためのウエブサイトです。この電子標本(e-標本)システムは、東北大学総合学術博物館が開発を進める3次元CGモデルを用いた新しい方式の標本参照システムです。
インターネット技術はデータ共有、データ・アクセス方法を大きく変えました。この新しい電子標本システムはコンピュータネットワークを介して広く標本の共有化をはかることで、従来の標本参照システムに比べ標本を探す手間を大幅に軽減し、膨大な量の標本の調査を可能とします。また、このシステムはさまざまな標本の形態の3次元計測にもとづく定量形態分類学を実現します。
この実験では、最大分解能で5マイクロメートルという高解像度X線CTシステム(ScanXmate-E090:コムスキャンテクノ製)を用いて原生動物の浮遊性有孔虫標本を走査しました。標本は断層画像をボクセル空間に再構成し、3次元コンピュータ・グラフィックスで表示できるようにしました。
電子標本は、ホワイトラビット社が無償で提供する“Molcer”という標本ハンドルツールを用いて観察します。このツールを使うと標本を自在に操作し、任意の方向から観察することができます。また、標本表示を形態観察に適するサーフェスレンダリングモードから内部構造観察に適するボリュームレンダリングモードへと簡単に切り替えることができます。
浮遊性有孔虫は海洋表層に生息する微小な原生生物で、主に炭酸カルシウムからなる殻を作ります。この殻は死後、海底へと沈積し、その一部は海底堆積物中に化石として保存されます。1968年から国際的な科学計画によって、世界中の海底から浮遊性有孔虫化石を含むたくさんの堆積物コア試料が掘削されています。これらのコア試料から得られる無尽蔵ともいえる大量の標本と高い精度で推定された地質年代を利用することによって、これまでにない完全な化石記録を得ることができます。このような化石記録は長大な時空間スケールの詳細な進化マップを描き出すチャンスを提供しています。この巨大な進化マップを完成するために、われわれはコンピュータによるデータ処理可能な標本の共有化を実現する新しい標本システムの開発が不可欠と考えています。
このシステムは、利用者が標本庫に保管されている膨大な数の電子標本の中から必要な標本を探すのを助けるためのデータベースを提供します。データベースは必要な標本を属名、種名、大まかな採取海域、地質年代といったキーワードを使って検索することができます。また、いったん取得した電子標本の標本番号をキーワードとして使うことで、その標本のより詳細な情報(保管場所、採取地点、地質年代、層準など)を検索することができます。
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