タンカは軸装の仏画をいい、これにはあらゆる尊格を描く曼荼羅、連綿と続く歴代ラマと守護尊を描くツァクシン(集合樹)、複数を組み合わせて一具とする「セットもの」などがあります。寂静四十二尊、忿怒五十八尊、白傘蓋仏母、懺悔三十五仏などがその例としてあげられます。 | 仏具には戒律に規定された比丘の持ち物である鉄鉢・錫杖があり、密教の儀式で使用する代表的な密教法具としてチベットで多く使用される五鈷杵・五鈷鈴、九鈷杵・九鈷鈴などがあります。その他、楽器のダマル(デンデン太鼓)、小法螺、水瓶・燈明台、それに摩尼(マニコロ)や旅行中、魔除けとして仏像を入れて持ち歩く携帯用の厨子などがあります。 |
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曼荼羅や仏・菩薩像などを描いた彩色の小絵片をいい、本来は携帯用図像集として使用されたものらしいです。河口コレクションのツァカリは、密教の本初仏である持金剛父母仏(ヤブユブ)などの諸尊21枚あり、濃彩鮮麗な細密画として優れています。 | 衣類染織品・日用品・装飾工芸品は、河口コレクションの民俗資料など413点から、僧侶や一般の人々が身につけた衣服類はじめ日常の生活に必要な飲食器から文房具、鍵・錠、財布、貨幣・切手、雑貨、そしてアクセサリーなど装身具63件を選んだものである。これらは、慧海が2回にわたりチベット旅行した19世紀末から20世紀初頭におけるチベット人の生活臭をそのまま感じさせるものとしてはなはだ興味深いものです。 |
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河口コレクションには、布地に彩色した軸装の仏画(タンカ)と同じように紙に墨摺した曼荼羅、師資相承を図示するツァクシン(集合樹)、如来、祖師、守護尊・忿怒尊、菩薩、仏母・女菩薩、護法尊などの木版画があります。 | |||
護符の中にはインド起源のものもありますが、とくに古いタイプの密教を伝えるニンマ派の地中や寺院の壁の中から発掘されたと伝えられる埋蔵教法に属する護符が多くあります。護符は病気や災害、事故をひき起こす悪霊(魔)を封ずるためのもので、病気平愈、災害除け、盗難除け、火災除け、家畜の保護など多岐に亘り、チベット人の信仰のありようを示す資料として注目されます。 | 慧海は第二回チベット旅行でインド、ネパール、チベットなどの地域を訪問しました。その際、京都の知人の要請にもとづいて、旅行中に岩石・鉱物等の標本をヒマラヤの山中で採取したことが、第二回チベット旅行記に数行記されています。このコレクションは、河口慧海鉱物コレクションとして古びた金属製トランクにおさめられ、産地ごとに113の小さな布袋に分けられています。 | ||
一枚一枚の紙に書かれた経典を薄板で上下に挟み、経典を保護する板のことをいいます。 経帙板(きょうちつばん)には仏像や文様を彩絵し、漆地金彩で装飾したものや、銅板・堅木に彫り出したものがあり、中には「三仏・二十八仏」「五仏・二十仏」の諸尊を高浮彫りした荘重なものもあります。 | 人骨を使ったチベット独特の法具で、仏教の諸行無常、無我の理を悟らせるためのものとされる髑髏杯(どくろはい)・頭蓋骨の念珠・大腿骨の笛などがあります。 | ||
サッチャ(ツァツァ)は、粘土を型にはめ、天日で乾燥して作る小仏のお守りです。チベットで広く普及しており、家庭の仏壇に安置したり、厨子に入れて持ち歩いたり、あるいは寺院に奉納したりします。河口コレクションには81点のサッチャがあり、無量寿仏・千手千眼観音・弁財天・ガルダ(金翅鳥(きんしちょう))など種類も多く、世界的にみても貴重な仏教美術資料とされています。 | 河口慧海は、植物学者伊藤篤太郎の要請を受けて、2回目のチベット旅行の際にチベットのシガツェーラサ間およびラサ近郊で多数の植物標本を採集しました。慧海の手元に残されていた植物標本は、能"The collection of the Indian and Himalayan Plants"という題名の1冊の標本帖にまとめられています。この標本帖には縦39センチ、横29センチの暗青色の台紙99枚が綴じられており、各台紙上には1点から5点の標本が糸で縫い付けられ、採集場所や年月日が赤色顔料や墨で記入されています。 | ||
河口コレクションの中の仏像には、河口慧海が、チベットのみならず、インドとネパールでも多くの時間を過ごしたことを反映して、このそれぞれの地域のものが含まれています。 |
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